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顔の見える店を選んでほしい -産経新聞 暮らしと経済 達人口伝 Part3-

「ドライクリーニングがどんなものか。正確に知っている人は少ないでしょうね」

クリーニングショップ中村の一角にあるドライクリーニング機は、業界ではごく標準的なものだ。素材別、色別などで仕分けした衣類を入れて扉を閉じると、無色透明の石油系溶剤がかかり、ドラムが回転する。

「衣類に溶剤をしみ込ませて洗うことで、油溶性の汚れを落とす。水を使わないからドライ。ソープ(洗剤)の種類によっては水溶性の汚れも取れますが、わずかに汗などが衣類に残って黄ばみなどの原因になるんです」

水に入ったコップにテッシュペーパーを浸して振ると、ボロボロになるが、溶剤の場合は形も崩れない。ドライクリーニングが、水洗い不可の衣類に広く使われるのはこうした特性があるからだ。

溶剤はフィルターで汚れを濾過(ろか)しながら循環させ、繰り返し使う。ところが、ドライもフィルターの手入れを怠ると溶剤は茶色に変色し、汚れが取れなくなるどころか、さらに衣類を汚してしまうのだ。

先月初め、娘の高校の制服を持った女性が店を訪れた。ハンドクリーム類を襟につけ、別のクリーニング店に預けたが、汚れの残ったまま返されたという。「制服のタグ表示は『水洗い可』だったので。たぶん水洗いしただけ。私が一分ほどでシミをぬき、二百円だけいただきました」

「去年、別の店で『汗抜きクリーニング』をしてもらったのに・・・」と駆け込んできた女性の白色のワンピースは、袖と襟が黄色に変色していた。これも「たぶん『汗抜き』は名ばかりで、スプレーを吹きかけただけ」。きちんと処理したところ、袖と襟は真っ白になった。

大手、個人にかわらず「汗抜き」や「汗取り」をメニューにしているクリーニング店は多いが、作業工程などに統一基準は設けられていない。結局、家庭で水洗いできない衣類から完全に汗を抜くには、プロが事前に採寸したうえ、防縮加工して水洗いし、仕上げでサイズを調整する昔ながらの方法しかないのだ。

「残念ながらいい加減な仕事をする業者は確かにいる。店の売り文句をそのまま信じるのではなく、実際に仕事をする人の顔がみえる店を選んでほしい」

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